他人事ではない「福祉の課題」
これから福祉の仕事をするならば、多くの課題を抱える日本の福祉についても理解しておく必要があります。
日本の福祉の問題点とは
介護福祉業界で大きな問題となっているのが、人材不足と資金不足です。いざというときのためにホームヘルパーの資格を取得するなど、有資格者の数自体は増えています。しかし、介護職として働いていない人は多く、働いていても離職してしまう人が大勢います。介護人材が不足する理由のひとつが賃金の安さです。人手不足が施設の資金不足に大きく影響していることから考えると、日本の介護福祉業界の問題は資金不足の1点に絞られると考えることもできるでしょう。介護保険制度が制定された2000年以降、介護を必要とする人の数は増えている状況です。しかし、介護保険料をまかなうべき労働者の数は減り続け、保険料の収支のバランスはすっかり崩れてしまいました。足りない資金は利用者が負担することとなり、それでも足りない資金が介護職の低賃金化を助長することとなっています。国からの助成金はいくらかあるものの、資金不足の問題を解決できるほどのボリュームはありません。
規制緩和によって民間業者が介護福祉業界に参入したところまでは良かったものの、サービスの質が低下してしまったことは想定外でした。介護の仕事に対して「重労働・低賃金」というイメージがつきまとうようになると、人材の確保はさらに難しいものとなっていきました。少子高齢化問題は根が深く、今すぐに解決できる問題ではありません。だからこそ社会福祉制度の充実による問題解決が急がれますが、格差が広がり続ける今の社会では効果的な具体策がない状況です。
社会福祉法人の役割
社会福祉の必要性や重要性に対する認知が進むにつれ、行政だけでなく民間企業やNPO、地域のボランティアなどが福祉に携わるようになっています。今後さらに福祉の必要性が増していく状況の中、福祉に対する関心が深まっていくこと自体はとてもいいことです。しかし、理解不足によって不適切なサポートが横行してしまっている現状についてもしっかりと考えていく必要があります。そもそも福祉とはどのようなものなのか、原則について理解することなく福祉事業に参入してしまうと、福祉サービスの利用者をさらに苦しい状況に追い込むようなサポートの型ができてしまう恐れがあります。ひどい場合だと、介護サポートを提供するはずの人が利用者を虐待してしまう事案に発展することもあります。また、介護サポートを受ける本人の意向を一切無視し、家族や関係者の意向を最優先にしてしまうこともあります。そのような不適切なサポートをなくすためには、福祉人材の育成やあるべき支援の形を地域に伝えるネットワーク作りなど、福祉事業者の一層の努力が求められます。
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