日本における福祉の歴史
福祉の仕事をするにあたり、日本における福祉の大まかな歴史から福祉とは何かを考えてみましょう。広い意味では福祉六法に関連する政策を「福祉」と呼びますが、その中には社会保障や公衆衛生の政策なども含まれています。主なものとしては、社会保険や公的扶助、社会福祉、公衆衛生、医療・老人保健に分類することができます。
福祉の原点は明治時代から
今ある日本の福祉政策の原点は明治初期にあります。相互扶助の考え方そのものは江戸時代から存在しており、近隣同士で助け合ったり連帯責任を負ったりする「五人組制度」というものがありました。明治初期に生まれた福祉組合や相互扶助組合の制度は、江戸時代にあった考え方の影響を受けているものとも考えられています。明治初期には、貧困にあえぐ人々やその他社会的弱者を救済するための施策として「恤救規則」という福祉政策が実施されていました。これに伴って貧しい人や弱者を保護するための組合が作られたわけですが、福祉の基礎となる活動が細々と行われていた程度で人々の関心は極めて薄く、明治後半には政府の意向もあって活動の規模は縮小する一方でした。
そこから戦争を経て昭和20年の終戦以降、日本の福祉政策が現在の形に向けて本格化していきました。戦後すぐのころは、「生活保護法」や「児童福祉法」、「身体障害者福祉法」など、敗戦にともなう人々の福祉の必要に応えるものがメインでした。これら3つは「福祉三法」と呼ばれるようになり、「知的障害福祉法」「老人福祉法」「母子福祉法(母子及び父子並びに寡婦福祉法)」がのちに加わることで「福祉六法」と呼ばれるようになりました。時代が進むと社会問題も大きく変化し、少子高齢化問題についての議論が活発に行われるようになりました。1997年には児童福祉法が改正され、2000年には介護保険法が施行されることになり、「福祉サービスの利用者と事業者が直接契約を結ぶ」という方法で福祉サービスが提供される流れができました。
福祉元年と呼ばれた時代
「福祉元年」と呼ばれた1973年には、老人医療費無料制度の創設、健康保険料の被扶養者の給付率の引き上げ、高額医療費精度の導入、年金給付水準の大幅引き上げなど、社会保障制度が大きく拡充されました。しかし、各種保障制度の財源とするつもりだった税収は落ち込む一方で、先進国の成長率も鈍化の一途と、社会情勢は極めて厳しいものになっていきました。形を変えて現在も運用されている制度はありますが、当初計画していたような社会保障制度のあり方と現状の差は広がるばかりで、少子高齢化に伴う問題を社会保障でどうカバーしていくかは答えが出ておらず、先行き不透明な状況が続いています。
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